feb 25 2022
魚食文化復興
認知症予防・改善に効果があるDHA・EPAとは
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構
規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門(部門長)矢澤一良さま
「さかな、さかな、さかなー♪さかなーを食べるとー、あたま、あたま、あたまー♫ あたまーが良くなるー」というフレーズを見れば、スーパーの鮮魚売り場でよく耳にする"あの曲"が頭の中で再生されることでしょう。
実はこの曲、1991年に魚食文化復興のため、水産庁が考えた「おさかな天国」という歌。魚を食べると頭が良くなるだけではなく、認知症予防や軽度の認知症の改善にも繋がるそう。具体的には、魚、特にカツオやマグロの目の後ろにある眼窩(がんか)脂肪に多く含まれるDHA・EPAが関係しているとか。
そこで、今回はDHA・EPAを発見し、世界で初めてそれらをサプリメントにした 矢澤 一良先生をお招き。DHA・EPAの魅力、これまでの研究の経緯や魚食文化復興のために我々ができることをたっぷりとお伺いしました。
歴史的発見となったDHA・EPA。ところが、「発見は偶然の重なりだった」と矢澤先生は話します。きっかけは、九州、鹿児島県にある奄美大島。そこではビンタ料理といって鰹のほっぺただけを食べる習慣があったそう。鰹の一番いいところ鰹節に使い、漁師は余った頭を食べる。そんなビンタ料理を食す習慣のある村では、なんと高学歴が多いというデータが見つかったのだとか。
そのデータを基に矢澤先生が調査を進めると、カツオ・マグロの目の後ろにある眼窩(がんか)脂肪からDHA・EPAがたまたま発見されたというから驚きです。それまでは、実験用に高純度のDHA・EPAを入手することが難しく、1g10万円もしたそうですが、売り物にならなかった魚の頭からDHA・EPAを安価に手にすることができるようになり、大量生産に成功。人に対する試験が可能となりサプリメントの製品化に繋がったのです。
では、我々の健康を維持するためにはDHA・EPAをどれくらい摂れば良いのでしょうか?矢澤先生曰く1日1g。もちろん、お魚が苦手な方やお魚を食べる食習慣があまりない方はサプリメントで補うことは1つの手段ですが、矢澤先生は、「どちらかというと、魚を食べる習慣、魚食文化を取り戻したいと思っている」と話します。その上で、「知ることが大事。なぜ魚が良いかわかるようになると、興味が湧く。お魚を美味しく食べて、学習機能、運動機能を高めてほしい」という先生のお話に、微力ながらメディアとしてさらに発信すべきと痛感しました。
さらには、インタビューの中で研究者として美学、矜持にも触れることができました。矢澤先生のお話、ぜひお聴きください。
矢澤先生が代表理事を務める「一般社団法人ウェルネスフード推進協会」は、ウェルネスライフジャパン2022を応援しています。
食と生活改善によりQOLの高いライフスタイルを実現する健康産業総合展
「ウェルネスライフジャパン2022」
会期:2022年7月27日(水)~29日(金) 10:00~17:00
会場:東京ビックサイト
詳細は
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【書籍紹介】
書籍:カツオで体がよみがえる
(発行:平凡社)
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【スペシャルゲストプロフィール】
矢澤 一良 (やざわ・かずなが)
1972年 京都大学・工学部・工業化学科(福井三郎教授)卒業
1973年 (株)ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務
1986年 (財)相模中央化学研究所入所(主席研究員)
1989年 東京大学より農学博士号を授与される
2002年 東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院)
水産学研究科 ヘルスフード科学(中島董一郎)寄附講座(客員教授)
2012年 東京海洋大学 特定事業「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト(特任教授)
2014年 早稲田大学ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門(研究院教授)
2019年〜 現所属